AIチャットボット

AIチャットボットキャラクター誕生秘話

タツノコプロが手掛けるAIチャットボットキャラクター誕生秘話
~東京通信大学の新しい仲間「ちゃっとぼっつぼ」が学生に愛されるために~

左から渡辺麻貴子氏、松田琢摩氏

タツノコプロは、日本の老舗アニメ制作会社。創業者・吉田竜夫の「世界の子どもたちに夢を」という思いを共有するスタッフたちによって、著名な作品の数々が制作されています。代表作は『マッハGoGoGo』をはじめ、『科学忍者隊ガッチャマン』や『タイムボカンシリーズ』など、枚挙にいとまがありません。東京通信大学の中にもきっと、幼少期にタツノコプロの影響を受けながら育った学生は少なくはないでしょう。

そんな世界中で愛されるキャラクターを生み出し続けるタツノコプロに、東京通信大学はAIチャットボットキャラクターのデザイン制作を依頼。最終候補から1案に決定する学生投票の際には、キャラクターについてもっと詳しく知りたいという声が多く寄せられました。そこで今回、タツノコプロ 取締役 松田琢摩氏、デザイン室室長兼チーフデザイナー 渡辺麻貴子氏に、制作の背景からキャラクターの将来像までたっぷりと語っていただきました。

明るく開放的な校舎と自由な雰囲気が印象的

今回、東京通信大学のチャットボットキャラクターの制作をどのような流れで行なったのかを伺えますか?

渡辺 まず東京通信大学にお伺いして、校舎見学とミーティングをしました。ミーティングでいろいろなイメージや希望をお聞きしてから、ラフを制作する期間を2週間程取って、デザイン室のメンバーで話し合いました。ラフと言っても色まで付けた完成に近い状態のものを持ち寄って、並べた時にテーマや色、モチーフに被りがないようにするほか実線のありなしなど色々なパターンを用意しました。

初めて東京通信大学にお越しいただいて、どのような印象を持たれましたか?

渡辺 総合校舎コクーンタワーって、見た目そのものが印象的なビジュアルですよね。実際に中は明るくて開放的で、光が差していて、広い。ラウンジでは学生さんが交流したり、勉強していたりして、自由な雰囲気だと感じました。

松田 とても清潔感を感じました。あと入る前にはやはりワクワクしましたね。校舎内もイメージそのまま、精巧で、先進的な印象を受けました。

キャラクターが長く愛される秘訣は、一目で理解できるわかりやすさ

キャラクターのイメージや希望を聞いた際の感想はいかがでしたか?

渡辺 タツノコプロらしさを大切にしたいと言っていただいたのが嬉しかったです。そのため、タツノコプロっぽさを取り入れて考えたものと、そうでないものを作って選んでいただくことにしました。また、親しみやすくて可愛らしいイメージと大学のキャラクターとしての賢そうなイメージを両立することをミーティングで話し合いました。

松田 今回はチャットボットのキャラクターなので、アイコンとして分かりやすいものが良いと思いました。線をできるだけ少なくして、パッと理解しやすい、記号化した案の方が良いという話はしていましたね。何かのキャラクターを作る時はいろいろな人から意見を集めるので、全ての意見を盛り込むと何がメインのキャラクターなのか、何を主張しているのかがボケてしまうことがよくあります。

最終3案から1案へ絞る学生投票はタツノコプロさんのご提案で実施しましたが、その意図をお伺いしたいです。

松田 とある市のキャラクターを作る際に、折角キャラクターを作るのであればみんなに愛してもらいたいということで、自分ごとになるように市民の方々に投票してもらったことがあります。そうしたらそれ自体が盛り上がり話題になって。市のイベントにそのキャラクターが出ると、みんなで盛り上げてくれるという作用が繋がっていきました。少しでも自分が関わっているというだけで、そのキャラクターに対して愛着が生まれるという成功体験をミーティングの際にお話しさせていただきました。

最終3案には、確かにそれぞれわかりやすいキャラクターになっていました。コンセプトをシンプルに表現していくキャラクター設計の考え方は大変興味深かったです。それでは各案について詳しくお伺いできますか?

渡辺 左から、「フッキーマン」は「親しみ」「一癖あるもの」「頼れる相棒」というキーワードを念頭に置いて作りました。会話をビジュアル化した「吹き出し」をデザインして、タツノコプロらしさというところでヒーローっぽさを入れています。
真ん中の「ちゃっとぼっつぼ」は、タツノコプロの代表作『ハクション大魔王』の壺を参考にしました。この壺の中身はどうなっているのか、学生の夢や希望、未来が詰まっているのか、そんな神秘的なキャラクターです。
一番右の「トッコトン」は、「とことんやれ」という当時の東京通信大学のスローガンから来ています。うちに「おだてブタ」というキャラクターがいまして、初めは「〜ブタ」というネーミングありきで考えていたのですが、とことんの「とん」が豚の音読みと同じだと気がついてこの名前に決まりました。
また、すべての案に共通しますがすでに存在するキャラクターの「トーク(TALC)」と被らないように、ロボットっぽさ、メカっぽさは入れないこと。また、皆さんの好みがまちまちだと思い、動物と架空のものをバランスをよく考えようと思っていました。あと、やはり長く愛してもらいたいので、あまりゴテゴテしないで親しみやすい可愛いらしさを出すことを意識していましたね。

学生投票の結果、選ばれたのは“あの壺”を彷彿とさせるキャラクター

渡辺 どれが選ばれてもいいように私たちは作っていますが、やはり壺は『ハクション大魔王』のことを思い出してくれたみたいで良かったです。分かりすぎてもつまらないし、ちょっと分かる気がつくくらいが良いなと思っていたのでバランスが上手くいったのかなと思いました。

この壺のピンクはまさに、『ハクション大魔王』を思わせるカラーリングですよね。それでは学生投票の結果選ばれた「ちゃっとぼっつぼ」は、東京通信大学のどのような特長をどのような手法で反映しているのでしょうか?

渡辺 最短で2年で卒業できる制度や履修継続率が96.3%*だということ、卒業後に願いを叶えられるイメージを伺っていたので、この帽子をつけて卒業を表現しました。あと手足を生やして、あちらこちらに行けるようにしています。学生に行きたいところに自由に行ってほしいという思いを込めて、やる気満々、元気なイメージにしたいと思いました。そのために目にハイライトも追加しました。

*2023年度実績。初年度2学期目の履修継続率

老舗アニメ制作会社だからこそ実現できる幅広い世代に受け入れられるキャラクターづくり

制作していただいたデザインを拝見して、たくさんの表情があるので見ていてとてもワクワクしました。また今回ラフもお持ちいただいていますが、制作過程で「ちゃっとぼっつぼ」はどのように変化していったのでしょうか?

渡辺 壺というのは決まっていたので、あまり変わっていません。帽子も一貫して被せていました。最終的に、口の形とか、鼻をつけるかつけないとかのところだけですね。ハクション大魔王の壺って唇が厚いのですが、それだとあまりにも似てしまいますし、やはりシンプルに、シャープに見せたかったということがあって、口はリアルにせず線だけで表現する形に落ち着きました。

「ちゃっとぼっつぼ」が学生に広く親しまれるためのポイントは何でしょうか?

渡辺 やはりずっと愛されているキャラクターはシンプルだと思っていて。皆さんに好きになってもらって、一緒に勉強してもらいたいので、飽きがこないようにシンプルに、分かりやすくしました。幅広い世代の学生や海外の学生もいると聞いていたので、そういった方にも受け入れてもらえるようにしていますし、『ハクション大魔王』を連想させて、タツノコプロらしさを出しています。

タツノコプロさんは幅広い世代に親しまれていると思うので、タツノコプロさんらしくすることが広く学生に親しまれるポイントになりそうです。その他、制作過程で苦労したことはありますか?

渡辺 色々なポーズや表情を描いていて、どんどん楽しくなってたくさん描きすぎてしまって…。それを清書するのが大変でした(笑)

困ったときに頼れる、愛される人気者に育っていってほしい

「ちゃっとぼっつぼ」が学生にとってどのような存在になっていってほしいかを教えていただきたいです。

渡辺 まずは好きになってもらいたいというのが一番ですね。勉強に疲れた時や、不安な時に寄り添ってくれたり、困った時に頼れるような、そんな存在になってくれたらと思います。
そして、皆さんに育ててもらって、たくさんの人に愛されるキャラクターになってほしいと願っています。

最後に、渡辺さんは「ちゃっとぼっつぼ」の中に何が入っていると思いますか?

渡辺 夢や希望、知識も入っているだろうし、人によって入っているものが違うと思います。東京通信大学にはたくさんのコースがあるので、コースの数だけ、学生の数だけ、本当にいろいろな夢が存在するはずです。中に入っているものは、皆さんが好きなものを想像してもらいたいです。